2007年12月12日水曜日

未来学への招待

主査の高橋紘士先生の授業で、「リスク学入門」という本を読んでいるんだけど、これがまた面白い。経済学者・法学者・社会学者・環境学者などなど様々な分野の専門家達がそれぞれの視点でリスクを語る本で、今は5巻くらいまで出版している。編纂は「格差社会」などの研究で有名な現在同志社大学の橘木俊昭先生。まさにリスクということについての学際的な本である。章ごとに専門家の独自性が出ているのだけど、最終的には「情報の非対称性」や「モラルハザード」というような人間的な部分に落ち着く感じで、やはり最大のリスクマネジメントは、モラルの回復なのかなと思う。それはともかく、その授業は少人数なので雑談や時事問題など(特に先生の専門の社会保障系)を交えながらのアカデミックなスタイルで行われる。通常の高橋ゼミよりゼミらしい(笑)

高橋先生は福祉業界の中で古いとか言う人もいるけど、僕からみればかなり新しいというかロマンチストな先生だと思う、授業の大半を占める脱線が変化に富んでいて非常に教養深く、いかに面白い方向に脱線させるかが勝負みたいな感じで、そこが非常にためになる。僕も福祉の研究をしてるとか言うと、周りの人から介護とかそういう印象しか言われないし、「若いのにえらいね」とか言われてしまったり、いい意味でも悪い意味でも他の社会学研究と距離を置かれてしまうことが多いけど、その人たちはものすごく損してると思う。社会問題はもちろん環境問題だって福祉だし、余暇とか娯楽とかスポーツとか文化芸術も福祉だし、結局そこに人間がかかわればなんだって福祉に当てはまるのである。人間の「しあわせ」を通じて、いかに社会をデザインしていくかというのが福祉の本題ではないかなって最近感じている。

でも、多くの研究は事後的な結果に着目したものばかり、もちろん実証性を出す為には事後的な部分の検証だったりが必要なんだけど、どこかぶっ飛んでいかない限り、結局本質的には変わらないのではって思う。NPO研究も、その可能性・将来性を感じて興味をもっているのだけど、新しい学問という割には、「シマをいかに固めるか」という縄張り争いが優先している印象を受ける(実際NPO学会の会員に福祉の人とかは少ないらしい…)。実際活動している人はいきいきとかっこいいのに、研究はなんだか若年寄というか、年齢層は他の古参研究よりは低いけど、やっていることはあまり変わらないと言う印象で、このままでは、20年後、30年後は古参研究として化石化してしまいそうな気がする…先週の社会デザイン学会で行われたNPO学会シンポジウムで、これからの方向性について面白い議論がなされてたけど、従来の研究というイメージをぶっ壊すものになってほしい。

そんな中で僕が前から注目しているのが「未来学」!!たぶん上記の「リスク学」というのもこの一種なんだと勝手に解釈しているけど、社会は常に未来に向かって動いており、未来を過ごしやすくするために、今をどう生きるかという考えが重要である。研究テーマの主眼としている「高度経済成長期の歪み」いうのは、まさに未来を考えず(せいぜい短期的)やってきた開発で、その場の効率化のために、大量生産大量消費社会にさせてきた。公共事業もその一瞬では非常に効果は合ったのかもしれないが、現代社会においてその歪みが環境問題といったハード面、依存体質といったソフト面ともに表面化しており、ついにはかつて栄えた市が破産するといった状況も生み出している。これは食品偽装の問題も関係することだと思う。

アンソニーギデンスの「第三の道」のサブタイトルは「効率と公正の新たな同盟」。効率だけ追求する時代はもう終わった。公平という視点をもちながら、効率を考えていくこと、例えばモラルを保ちながら経済問題を考えていくことなど、真の意味のフィランソロピーがこれからの時代に求められるのではないか。

0 件のコメント: